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痛風と食事




増えている高尿酸血症!

痛風とは”風が吹いても痛い!”と言われるほどの激痛を伴う病気で 一昔前は中年男性特有の病気のように思われていましたが 最近では女性や若い年齢の人たちにもみられるようになりました。

痛風の基礎となる「高尿酸血症」を改善しないと 心臓病や腎臓病などの合併症をおこす恐い病気で これを防ぐためには運動などの生活改善と共に食生活の改善が必要です。

 痛風ってどんな病気?

痛風の起こる前期には 「高尿酸血症」といって 検査の結果 血液中の「尿酸値」が高いと言われます。

この時期は 症状がありませんが 放っておくと「痛みの中でも最強の痛み」と言われる痛風の典型的な痛みが起こります。
これが痛風の急性期です。

この時期になると たいてい腎臓に障害がおこってくることになり 継続的な治療が必要になります。 

急性期が繰り返して起こっても 痛みに対処するだけでは 体に溜まった尿酸が関節の中で常に炎症を起こし続ける状態で絶えず痛みに悩まされることになり さらに放置しておくと 尿酸が体のあちこちに沈着し 塊を作るようになってしまいます。

これを「痛風結節」と呼び 慢性結節性痛風期を迎えてしまうようになると命にかかわるような合併症を起こす可能性も高まります。

このような状態を予防するためには 早い時期からの生活改善が重要となります。

<痛風の合併症>

  • 高脂血症
  • 痛風腎
  • 高血圧症
  • 糖尿病
  • 虚血性心疾患

  • 痛風(高尿酸血症)の原因は?

    今まで少なかった 女性や若い年齢層にまで痛風が増えてきたことの一番の原因は「 肥満」の増加と考えられています。
    高度の肥満者に かなり痛風の発症率が高いことが解ってきているからです。

    最近は 食生活の欧米化によって「グルメ嗜好」が広がり 脂肪の摂取量が増え それに伴って「肥満」が増加してきています。
    このような 時代の食生活の変化によって 肥満(特に内臓脂肪型肥満)が増え それに伴って痛風が増えてきていると考えられるわけです。 

    また 女性の痛風が増えた理由としては 女性ホルモンとの関係も考えられており それは 女性ホルモンが尿酸の尿中排泄を促す働きがあるため 中年以降の女性は 閉経後に痛風が発症するということが言われていたのですが いままで稀にしか見られなかった若い女性にも痛風が増加している原因は 現代社会が生み出したストレスや食事による「無月経」の増加によるのではないかと考えられています。
    痩せた若い女性の無理なダイエットも月経異常をおこし その結果痛風が増えているのではと言われています。

    それ以外の誘因としては 飲酒・脱水・ストレス・激しい運動のし過ぎ・プリン体の多い食品の摂りすぎがあげられます。

    核酸とプリン体と尿酸の関係

    痛風の原因となる「尿酸」とは 何でしょうか?・・・・。

    体にはたくさんの細胞がありますが  細胞は毎日 作られたり壊されたりという新陳代謝を繰り返して成り立っています。

    細胞の中に 細胞の核を構成する「核酸」という物質があり それを構成するのが「プリン体」と呼ばれる物質です。

    プリン体核酸の原料ですが そればかりではなくエネルギーを発生させるATP(アデノシン三リン酸)の原料にもなる物質です。

    核酸は分解されてプリン体ができますが これは「ヒポキサンチン」という物質を経て「尿酸」になります。

    このように分解された尿酸は 最終的に体外に排泄されるという仕組みになっています。

    つまり尿酸とは 細胞の最終産物と言うわけです。

    プリン体の分解からできる尿酸の尿中への排泄量は 平均一日750mg(成人男性)くらいで最終的に腎臓から尿へと 腸から便へと排泄されていきますが 体内には1200mgもの尿酸が実は「尿酸プール」という形で常時蓄積されています。

    この「尿酸プール」によって 体内に尿酸が何故必要になるかは詳しく解っていませんが 尿酸が癌や老化の原因となる「活性酸素」を消す働きがあるからではないかと言われています。

    このように重要な働きをする尿酸ですが 一定以上に血液中に増えると 尿酸値が上がり その結果「高尿酸血症」をおこしてしまいます。

  • 高尿酸血症とは・・・
  • 血液1デシリットル中の尿酸値が7mg以上

    尿酸は水に非常に溶けにくく そのため体内で結晶化して悪さをします。

    痛風の激痛は この針のように尖った結晶化した尿酸が血液中に増え 神経などを刺激することが原因で起こりますが この結晶化した尿酸は人体にとっては異物なので白血球によって退治されるのですが 針によって逆に白血球が破壊され それによって体の様々な障害が起こることに繋がると言われています。

    痛風の激痛は このような危険な状態を知らせているわけです。

    「尿酸」の増加の原因は 尿酸の元である「プリン体」が増えたり 尿酸の排泄が減ったりすることによります。

    プリン体の増加は食物からの摂りすぎがあり プリン体を多く含む食べ物を摂りすぎないようにすることですが しかし「尿酸プール」で約1200mgが必要なのに対して 食べ物からは約1/4 尿酸にして一日300〜400mg程度しかないと言われ 食べ物からプリン体を制限してもそれほど影響が見られないことになります。

    現在では 薬の開発もされ 以前ほど食事の「プリン体」制限が厳しく考えられなくなってきています。

    しかし 薬だけに頼って 痛みだけを抑えても 根本的に尿酸値を下げなければ恐ろしい合併症を引き起こすことに成りかねないので 食事の改善は「高尿酸血症」のためにはなくてはならないものなのです。

    また激しい運動によっても尿酸が増えますが これは激しい運動を20分以上続けるとエネルギーのもとであるATP(アデノシン三リン酸)の分解によってヒポキサンチンができ これが尿酸の原料となるためです。
    高尿酸血症では 肥満を防ぐために運動が必要ですが 運動は軽いものにして 激しいスポーツのし過ぎはこの場合避けるようにしたいものです。


    《高尿酸血症の食生活》

    エネルギー制限とバランスの良い食事

    高尿酸血症の人がまず第一に気をつけることは 「摂取エネルギーの制限」です

    高尿酸血症のひとは 肥満者が多く 肥満を招いたエネルギーの過剰がなんらかの形で 尿酸の代謝に関わっているものと考えられています。

    エネルギーを制限した食事は プリン体を制限した食事よりも 血液中の尿酸値が下がったという結果が多くみられ 高尿酸血症の食事療法には エネルギー制限が重要であると言えます。

    また 高尿酸血症の人は 肉や魚に片寄った食事をしている人が多いのも特徴で このような場合 芋類・野菜・海藻・キノコ類などを適度に取り入れたバランスの良い食事を心掛けることが必要です。

    バランスの良い食事は 合併症となる動脈硬化や腎臓病の予防のためにも必要です。

      ※エネルギー制限食やバランス食は 糖尿病の献立例や構成表を参考にして下さい

    高尿酸血症では 腎臓結石から腎臓を壊す危険があるので それを避けるために尿をアルカリ性にして溶かす必要があり そのためには野菜や果物を十分摂る必要があります。
    (特に「尿酸排泄促進薬」を飲んでいるいる人は 大量の尿酸が排泄されることによって腎臓結石を起こしやすいので尿を酸性に傾けないようにしなければなりません。) 

    プリン体の多い食品を減らす

    プリン体は遺伝子の一部なので 多かれ少なかれ総ての食品に含まれいることになり まったくプリン体を摂らないというわけにはいきません。

    最近では 良い薬の開発により「食事によるプリン体の制限は必要ない」という考えもありますが 日常プリン体を多く含む食品ばかりに片寄った食事をすることは好ましくありません。

    食品中の「プリン体」を減らすことや 料理法によってプリン体を体に取り込まないような工夫が必要です。

    食品に含まれる「プリン体」は水溶性で 料理するときに水中に溶け出す性質があるので肉や魚は茹で汁を捨てることによりかなりプリン体を減らすことができます。

    肉を焼いたあとの「肉汁」は 料理に使用しないようにしたほうが良いでしょう。

    他にも 「だし」に使用される旨味成分の「イノシン酸」もプリン体の一部なので 調味料を使う時には注意が必要です。


    《食品の総プリン体含有量》

     
    食品プリン体(mg)食品プリン体(mg)
    牛レバー 60g  132mg豚レバー 60g   171mg
    サンマ 90g  139mgサンマ干物 90g   188mg
    マイワシ干物 50g  153mg鶏レバー 60g   187mg
    カツオ 80g  169mgマアジ干物 90g   221mg
    アンコウ肝 酒蒸し 40g  160mgくるまエビ 25g    49mg
    大豆 40g   69mg大正エビ 30g    82mg
    カキ 50g   92mgマアジ 70g   116mg

    上記の食品には「プリン体」が多いので 尿酸値が高い人は控える方がよいのですが エビ・大豆・カキ・アジは少量なら摂っても大丈夫です。

    また プリン体は含まれますが栄養的なことも考え あまりたくさん食べ過ぎないように気をつけたい食品としては・・・・
    肉類(内臓を含まない)・魚(缶詰も含む)・ボンレスハム・ウインナーソーセージなどの肉加工品・貝類・生ウニ・イカ・タコ・たらこ・蟹・蒲鉾など練り製品・納豆
    などがあります。

    ラーメンの「だし」には 豚骨や鶏がらが使われていますので汁は飲まないようにしましょう。  

    アルコールの制限

    アルコールの飲み過ぎは高カロリーとなり エネルギー過剰に繋がることはもちろんですが アルコールは血中の尿酸値を上昇させるので注意が必要です。

    特にビールはお酒の中でも「プリン体」含有量が多く エネルギーとプリン体の両方を高めることになります。

    ビール以外のアルコール飲料も 控えるようにすることが基本です。

                         
    ★アルコールの限度と度数★
    ビール 500ml     22.5g
    日本酒 180ml(一合)  29.7g
    焼酎(25度)  70ml     17.5g
    ウイスキー  60ml     25.8g
    赤ワイン 200ml     24.0g
    白ワイン 200ml     24.0
    ブランデー  60ml     25.8g

    水分を十分に摂る

    血液中の尿酸値を高くしないように 尿酸をうまく排泄させるためには 日頃から十分に水分を十分にとることが必要です。

    しかし 水分といっても ジュースやアルコール飲料では 高カロリーとなるので 水やお茶などカロリーを気にしなくて良い飲み物を摂るようにしたいものです。

                                     (1998.4.18)

    腎臓病と食事